風よ吹け


2002年1月25日  「ブロードバンドの楽しみ方」


東大在学中からYahoo!のコンテンツ開発のリーダーとしてプロジェクトを統括し、その1ヵ月後にはインディゴという会社を設立していた孫泰蔵さんに話を聞きました。
彼はソフトバンクの孫さんの弟さんですが、お兄さんとはまったくタイプが違います。お兄さんの方は、見るからにやり手の起業家ですが、弟さんはとてもアカデミックな感じがします。そんな彼もたいへん才能のある起業家でインターネットビジネスを幅広く手掛ける会社を経営しておいでです。また、経営に対して「信念と志があり公益に資すると思えるものなら突き進むべきだ」という哲学を持っていらっしゃいます。

彼はインターネットの立ち上げ時から関わりはじめて、今まさにその動きが変わろうとしている、「パラダイムシフトが起きてい」るというのです。
生活者としても、企業を営む立場でもその変化はぜひ知りたいと思いますし、対応していきたいものです。
企業家はeビジネスをやりたい、やらなければならないと感じていますが、そのためには何が必要でどうすればできるかを知らなければなりません。また、今携わっている企業もどう変化させていったらいいか常にアンテナをとぎすませておく必要があります。しかし、あまりにも動きが早すぎてついていけないというのが実態です。経営者は真剣に取り組み、学びつつ思考しなければなりません。

ブロードバンドとは何でしょうか。
ブロードバンドの大きな特徴は、情報量が多くなるということと、常時接続であるという2点です。
情報量が多くなるということは、それだけ表現力が増すということにつながります。
表現力が増すというのを単に「音楽や動画が流せる」ととらえれば、それまでですが、本当にそうでしょうか。使いようによっては、何にもまして強力なメデイアに変貌するのではないでしょうか。

そこにはメデイビッグバンという構造変化がやってくると考えてよいようです。
コンピュータはツール(道具)だからとばかりは言っていられません。
テレビができたとき、あるいは自動車が発明されて社会は大きく変貌を遂げました。
また携帯電話が普及することによって、今まで考えられなかったことが次々に起き、社会や文化が変わりつつあるということを見ても歴然としています。ツールは社会を変えるのです。
今までマスマーケットに対して、一番影響力を持っていたのはテレビでした。
しかし、個の時代にいつまでもマスを相手にしていていいのか。費用対効果で図れないテレビにいつまでも頼っていていいのか。それなら、ほしがっている人にダイレクトに届けてしまった方が効果的なのではないかというのは誰でもが願うことです。ブロードバンドでそれができる技術進歩が起こったと考えるのは早計でしょうか。

ブロードバンドになると、対話ができるタレントがWeb上に登場したり、オリジナルのショートフィルムを見ることができたりします。見せるだけのインターネットショッピングではなくインタラクティブで、使い勝手や、洋服の生地の風合いまでわかるような革命的なサービスも提供できるようになるでしょう。
こうした革命は、既存のことがらにとらわれていたのではできません。
新鮮な頭で考えなければ表現力というのはわいてきません。
どう使って、どう見せていくか。何を、どう表現したら楽しめるかは、技術を伴った独創的なクリエーション能力が必要で、それらはすべて人の頭の中にあることです。
そして、自分たちのコアコンピタンスは何で、何を作りたくて、ビジョンは何かということがハッキリとしていなければなりません。

常に思考すること。
考えるということが、いつの世も一番大切なことなのです。



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