TODAY'S ENTERTAINMENT
 
2004年1月30日(金)
No005 ぼくこれから一人で寝る

突然、今まで一緒の部屋で寝ていた今度6年生になる男の子が「ぼく、これから一人で寝るから」と言い出したという。
もちろん、一人になりたい年頃。母親としては「当然だろうなとは思うのだ」と彼女は悲しげに語った。

ところがその晩、母親の心の中にはぽっかりと穴が開き、あまりの喪失感にたまらない気分になったというのだ。

今までその子が生まれてから10年間、ずっと同じ部屋で眠っていたのだ。
赤ちゃんの頃は3時間おきに乳を飲ませ、夜中目を覚ましては様子を見ていたのに、その場所が空になってしまった。
隣に寝ていた子がいない。その人いきれや体温が感じられない。
寂しくて寂しくてたまらない気分におそわれた。

子離れを恐れない親になろうと、人一倍心が子供に依存しすぎないように気をつけている毅然とした母親のように見えたのだが、ダメなようだ。
頭では理解できても心がいうことをきかないらしい。

子供は少しずつ大人になっていく。
親は、大人になるのを邪魔しないように、その空しさをグッとこらえ、乗り越えていかなければならない。

「出逢力」をとく人材教育のプロ松尾一也氏は暖かく彼女に助言した。
「順調に成長しているということではないですか」と。

確かに、いつまでも子供のままだったらそれこそ困りものだ。
彼女は、「それを考えたら、こんなに喜ばしいことはない」とようやく思えたようだ。
親たちも、こうして乗り越えてながら生きていく。

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