TODAY'S ENTERTAINMENT
 
2004年10月22日(日)
No020 芝居『楡の木陰の欲望』


シアターセンジュ 2004年10月18日〜31日

サラブレッド寺島しのぶは、悲しい。
富司純子(藤純子の方がわかりますか?)と菊五郎の娘に生まれ
「美しくて毛並みがよくて芝居もうまくないわけがない」と皆に思われている。
その期待にどう応えればよいのか、かなり葛藤したようだ。

母親の美しさにかなうはずもないから、
とにかく技術を磨こうとひたすら努力した。
そして、2003年、日本映画界の女優賞10冠に輝いた。

親の呪縛からのがれ、
ようやく自分としての価値、
自分のアイデンテイティを見つけられたのだ。

シアター1010開館記念公演「楡の木陰の欲望」は
ノーベル賞作家ユージン・オニールの代表作である。
確かに、群を抜いてうまかった。
まさに、主人公になりきっていた。

・・・
1850年、ゴールドラッシュに沸き立つアメリカ北東部の農場。
父親は、末息子エビンの待つ家に3度目の若い妻アビーを連れて久しぶりに帰ってきた。
エビンは、この農場は死んだ母親のものだから何が何でも自分のものにすると強く思っていた。
アビーは初めて訪れた家にほれ込み、彼女も自分のものにしようと決める。
そして頑固で強欲な父親はこの家は誰にも渡さないと思っていた。
初めて出会った時から惹かれあう母と息子。
いつしか二人は父親の目を盗んで愛し合うようになる。
そして不義の子を産んでしまうのだった。
・・・

それにしても、どうして寺島しのぶは、お嬢様のはずなのに、そうは見えないのだろう。
生活に疲れたような、悲しみを抱えたような雰囲気が漂っている。
うぶで純真な女性を演じても似合わないように思える。

その点、この作品では肉体で息子を翻弄する母親という役なのでピッタリだ。
これからも注目していきたい女優の一人である。


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