TODAY'S ENTERTAINMENT
 
2004年11月3日(水)
No021 映画『バーバー吉野』


映画配給会社の人に以前言われました。
「映画評論を書く人も、10年たつとようやく書けるようになってくる。
ところが、そのころになると辞めてしまう人がほとんどなんです」

おかげさまで私はその10年を超え、今、仕事として、ライフワークとして
思いっきり見ることも書くことも楽しんでいます。

10月末に開催された東京国際映画祭では
今年は邦画とアジア映画を注目して見てきました。

そこで今回のおすすめエンタメは映画『バーバー吉野』
これはすでにDVDとして発売されていますので、
レンタルビデオで、ぜひご覧ください。

ほのぼのと心温まる風景が広がり、クスッと笑えてジーンとくる作品です。
場所は伊豆。田舎過ぎもしない、都会でもない美しい田園風景が広がる町の
小学校5年生の子供たちが登場します。

この町の子供たちはみんな同じ髪形をしています。
それは、小学生が帽子をかぶり、どこの小学校に行っているかがわかるがごとく
その髪型なら、あの町の子だと人目でわかる、昔はやったマッシュルームカットのようなダサい髪型です。

「バーバー吉野」のおばちゃん(もたいまさこ)が刈るその髪型「吉野がり」は、
かっこわるいけど町の伝統として大事に守られてきました。

そこに今風の髪形をした転校生がやってきて町に波紋が広がります。

もちろん、転校生は髪型にとどまらずいろんな刺激を運んできます。
小学校の男の子の様子がリアルで
仲間で集まっては秘密基地でワイワイ騒いでいる様子や、話すこと、していること、興味を持つことすべてが「そうそう、そうなのよ。まさにその通り」と
子供を持つ母親ならうなずかずにはいられません。

そして、作品に対しても子供に対してもいとしさが倍増します。
思春期に入る手前の男の子が興味を持つこと、
大人が決めたことに対して反発するのはどんなにたいへんか、
子供たちの世界は少しずつ広がって、そして少しずつ大人になっていきます。
その成長の様子に心がジーンとします。

監督の荻上直子氏に男の子がいて、だからわかるのかと思いましたが、
そうではありません。
実は、昔から男の子になりたくて子供の頃から興味を持ってじっとみていたから
表現できたと話していました。

最近の邦画、けっこうお勧めが多いですよ!


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