先日、講演会を聞きに行きました。
学びはエンターテインメントであると思ってきましたが、
水谷先生の話はあまりに重く、その現実は過酷です。
ただ話し方がお上手で、所々に笑いがあるのが救いでした。
水谷先生は、「夜回り先生」として知られています。
高校の先生、とくに夜間高校の生徒指導として生徒と20年以上真摯に向き合ってきました。
90年代半ばから中高生の間の薬物汚染に直面し
生徒たちの更生と心のケアに立ち向かいます。
その頃から深夜の盛り場で遊ぶ子供たちに声をかけ、話し込む姿が「夜回り先生」と呼ばれるようになったきっかけです。
子供たちを取り巻く環境がいかに悪化しているか知ってもらいたいと、8年ほど前からテレビやマスコミに活動を広げました。
それ以降、先生のところには全国各地から子供たちの救いを求める悲鳴が届き続けています。
2004年9月に、横浜市を退職して教員生活に終止符を打たれました。
・・・・・・・・・
講演の内容は深く、今の社会が抱える問題点をたくさん提示されました。
義務教育費を払えない家庭がたくさんあること、
自殺する子供たちの本当の数、
途中退学する子供たち、リストカーッターが100万人を越えていること
摂食障害の子達、家を出られない引きこもりの子供たちの真実・・
そして、中学生高校生をターゲットに、日本に薬物汚染が広がっているということ。
それは、私がいた会場のアンケートからもわかりました。
「友人や知人が薬物を使用したことがあるという話を聞いたことがある人
使用しているのを見たり、売っているという話を聞いたことがある人」
という先生からの問いかけに、私の目には7割近くの参加者が臆するところなく手をあげていました。
参加者は偏差値の高い学校の大学生でしたが、この事実は衝撃的です。
そして薬物依存症になって、心も身体もぼろぼろになっていく子供たちはどんな子なのか。
家柄も成績も良くていわゆる優等生タイプの子。
彼らは、「誰にも迷惑かけてないじゃん」といいつつ、心で感じることを放棄して
人に対する優しさや自分を見つめる魂を失って、目先の快楽を求めて薬物に手を伸ばします。
今さえ楽しければいいという風潮は、社会の象徴かもしれない。
また、
家庭や学校で傷つけられ、認めてもらえず、ほめられもせず
大人を信じられない子供たち。
自分は見捨てられている、大人は世間体ばかり取り繕っている、
いいかっこしたいだけじゃないか。
猜疑心でいっぱいの子供たち。
彼らはいったんは薬物から離れられても、環境が変わらない限りまた薬物の世界に戻っていきます。
水谷先生が語るのは
たった一人の小さなやさしさが子供たちを救うということです。
社会がやさしくないと、人はやさしくはなれない。
だから大人は、目の前にある自分ができることから始めてほしいと訴えます。
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講演が終わった後、控え室を訪ねました。
こんなに目がきれいな人に出会ったことがありませんでした。
深い色をしていて、燃えています。
こんなに人と真摯に向かい合う人を知りませんでした。
世の中や社会、そうした社会を作った大人たちに憤っています。
こんなに一生懸命生きている人を見たことがありませんでした。
ご自身は血液のがんを患っていらっしゃいます。
この方の名は、夜回り先生。水谷修先生です。
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