一度姿を消してしまった野生のコウノトリ。
兵庫県豊岡市では45年前に姿を消した野生のコウノトリを復活させ、現在149羽のコウノトリと共に暮らしています。
「コウノトリも住める豊かな自然環境と文化環境は、人間にとってもすばらしいものに違いない」という信念を持って取り組んだ結果です。
以前は、人とともにコウノトリも牛も昆虫も、皆一緒に仲良く暮らしていました。いつの間にか、人は田んぼに何が住んでいるのかもわからなくなってしまいました。
何を失ってきたのか。何をなくしてしまったのか。それを取り戻さなくては。
私たちにしみこんだ「楽なほうがいい」「お金が儲かればいい」「自分(人間)さえよければいい」といった「価値観」が環境を破壊し、コウノトリを絶滅に追い込みました。
1965年、絶滅の危機に瀕していたコウノトリを何とか救おうと、捕獲して人工飼育を始めたのです。
コウノトリが野生で生きていくためには、里山や田んぼ、川や水路に、たくさんの生き物が住む自然環境が必要です。肉食のコウノトリは、かえるや蛇、ドジョウ、なまず、フナ、バッタなどを食べて暮らします。しかも、羽を広げると2メートルもある鳥ですから食べる量も半端ではありません。一日にドジョウにして80匹ほどは食べるとか。大量の生き物が生息するために、田んぼの水を通常より長くはっておくことになります。お米と生き物が同時にできる工夫が必要なのです。
我慢や工夫をすることで自然を復活させようと、農薬を使わない昔ながらの技術を「コウノトリはぐくむ農法」とよんで、指導員を置いて現在も取り組んでいます。
コウノトリの再生は、研究者だけが取り組めばいいわけではなく、まちに住む一人ひとりの人の力が大きく関与するのです。私たちの自然を守り、人間や自分だけでなく周りのものを愛する心を再生すること。その大切さをコウノトリは教えてくれたのかもしれません。
コウノトリはぐくむ農法で育てたお米、美味しかったですよ!
「豊岡エキシビジョン2010」〜豊岡への誘い〜と銘打ったマスコミ発表会で、こうした豊岡の挑戦、コウノトリ復活の話などを伺いました。
豊岡は、毎年私が記者発表会の司会をさせていただいている冒険家「植村直己冒険賞」の主催者です。ここで植村さんは生まれ、そしてここに植村直己冒険館があります。
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