TODAY'S ENTERTAINMENT
 
2010年10月30日(土)
No063 兵庫県豊岡市の小京都『出石』


出石(いずし)という町をご存知でしょうか?
先日、私が講師をさせていただいた講演会で「兵庫県豊岡市を知っていますか」と伺ったところ、残念ながら500人のうちどなたもご存知ありませんでした。
「城崎温泉」で少し手があがり、但馬の小京都といわれる「出石」という城下町もほとんどご存じないというのが現状でした。
静岡での講演会だったため、関西地区にはあまり足を運ばれないのかもしれませんが、もったいないことです。

豊岡市は、毎年私が司会をさせていただく「植村直巳冒険賞」の主催者。絶滅寸前のコウノトリを復活させた町として知られ、このメッセージメールにも以前書きました。

その豊岡市にある「出石」という町が、実に気骨のあるところなのです。
ここは重要伝統的建造物群保存地区に選定される貴重な昔の町並みが残っていて、城跡、町屋敷地を含む東西600メートル、南北620メートルの地域が保存されています。しかもそこは、歴史的景観だけでなく、近代洋風建築や織物工場など多様な建造物と共存し、昔の風情を残したまま、住みやすいまちとして今も活発に息づいています。
昔の町並みを残そうとするあまり、住みづらかったりすることが往々にしてありますが、ここでは住民のことを考えて町づくりがされています。
豊岡市の観光課長さんは「ここ住んでいてよかったなと住民が思えるような町づくりが、観光振興につながります」と熱く語ります。

この町のすごいところは、「町づくり」が町の人たちの意欲によって支えられていること。さまざまな町民グループが「町づくり」の機運を高め、活動し、商品や店舗開発を手がけ、実績を積み上げてきました。
昭和43年に全額町民の寄付で出石城隅櫓を復元し、その後も登場門、登場橋などが次々とよみがえっています。町民が町づくりで心をひとつにして取り組み、その動きは出石町観光協会という形になりました。この観光協会は、様々な職業の町民で組織されていて、町づくりは、町の将来を決める大切な事業と考えています。この組織が基盤となり平成10年、「出石まちづくり公社」が設立されました。町民の活力と発想を活かす第三セクターです。
また、昭和63年にできた「出石城下町を活かす会」は、メンバー200名で現在も酒蔵コンサート、芝居小屋「永楽館」の復元保存運動などに取り組んでいます。

市民と商店街と行政が連携し、今では100万人近くの観光客が訪れる町となった出石。
住んでいる人たち、商店街の方々、そして役所の皆さんが本当に仲がよくて、何の垣根もない。町で行き会うと笑顔で挨拶し、祭りには町を愛するみんなが率先して参加する。
誇りに満ち溢れ、自分の郷土を愛する心が伝わってきました。


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