すごくいい作品です。スポーツのことも、野球ことも詳しくないけれど、それでもとってもいいなぁと思いました。
主人公は、実在の人物。
アメリカのメジャーリーグ球団の中でも、群を抜いて貧乏なオークランドアスレチックス。
そこのゼネラルマネジャー ビリー・ビーンをブラッド・ピットが演じています。
ビリーは、その能力を評価され期待の星として高校生のときにメジャーリーグからスカウトされました。彼は奨学金でスタンフォードに行けることになっていたのに、それを捨ててメジャーリーグ選手の道を選んだのです。
鳴り物入りでニューヨークメッツに入団したのですが、活躍することができず挫折の日々。引退を決意したとき、監督やコーチになれるにもかかわらず、自らスカウトになりたいと申し出ました。その細やかな心の機微を、ブラッド・ピットが好演しています。
オークランドアスレチックスはどうしても勝てません。優秀で人気のある選手を獲得するには資金力がない。それなら、従来の選手の見方を変え、評価基準を変えてみてはどうだろう。そのときに出会ったのが、他球団で新人だったフロントのピーターです。ピーターの今までにない視点や、統計学に基づいた考え方に注目しました。
ルックスや、個人の選手が持っているポテンシャリティーではなく、チームとして勝てるように、統計学に基づいた理論、公式に当てはめて選手を選ぶ。
他球団から見捨てられた選手、怪我をした選手、活躍期を過ぎた選手、投げ方の形が悪いなどといわれている選手を獲得し始めるのですが、ビリーの望む優勝は得られるのでしょうか・・。
何が小気味いいかというと、ビリーは自分が信じたデータ分析家ピーターを心底、信じきるところです。ピーターの理論で選手を獲得してもなかなか勝てず、周りに馬鹿にされ反対され続ける中、本当にこれでいいのかと揺れながらも、推し進めていく。今までにない野球を実現するために。
人を信じ、自分を信じるには強さが必要なのだと痛感しました。
ものの見方を変えるのは大変です。今までのやり方が良いとされているのに、それを変えて、しかも成功させる。真の改革は孤独であり、「当たり前」になっていることと戦っていかなくてはならない。自分の中の「今までいいと思ってきたこと」を捨てて、新しいことをやり抜く信念がなければ突き進めないでしょう。
改革者というのは、本当にすごい人だと尊敬します。
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