TODAY'S ENTERTAINMENT
 
2013年4月26日(金)
No072 映画『すーちゃん まいちゃん さわ子さん』 監督とのトークショー


物語は、10年来の友人である30代女性3人の日常がつづられています。すーちゃん(柴崎コウ)はカフェで働いていて、まいちゃん(真木よう子)は会社にお勤め、さわ子さん(寺島しのぶ)は、祖母の介護をしながら家でWEBデザイナーをしています。原作は益田ミリさんの漫画。

この作品の試写会で、御法川修監督とトークショーをしました。
原作を読んで映画化しようと熱望して出版社に頼みに行ったこと。
登場人物が、様々な場面で「立ち止まって考える」ところに共感したこと。
キャスティングにあたって考えたことなど、たくさんお話してくださいました。
監督はとても繊細な心をお持ちで、まなざしが温かく、一瞬一瞬を丹念に描いています。


人生にはいろいろな場面があって、そのときどき、傷ついたり、苦しかったり、迷ったりするけれど、小さな幸せを見つけてしなやかに生きていこう。
今の世の中、漠然とした不安に包まれていて、以前は「こうすればよくなる。こういうのが幸せだ」というはっきりとした明るい未来があった。今は「夢が持てない時代だ」。だけど、日々、ちょっとした幸せを糧に前向きに生きていきたい。
作品の大きなメッセージとして「遠い未来のために今を決めすぎることはない」という言葉を打ち出していて、この言葉に心打たれる方が多いということでした。

この言葉、私の心にはストンと落ちなくて、また「夢が持てない時代だ」と監督がきっぱりと言い切ったことにも驚きました。
閉塞感が漂っているのは感じますし、元気がなくなる若者が多いということも充分知っているのですが、「夢が持てない」というのは「よくわからない」というのが実感です。

私の今の夢は、「一人でも優しい心を持つ人が増えてくれればいいなぁ」「思いやりのある世の中になってほしいなぁ」とか「誰もが穏やかな気持ちで暮らせる社会にしていきたいなぁ」というものです。少しでも優しく、少しでも温かくと願っています。

私がこの作品を通じて感じたのは、すーちゃんの優しさ。さわ子さんのお家にみんなで遊びに行ったとき、寝たきりのおばあさんのところに、「ご挨拶させてほしい」と自然に言えること。
まいちゃんの周りにいる人たちは、まいちゃんに対して悪気なく無神経な言葉を投げかけます。自分もそういった人たちと同じことをしているのではないか。心無い言葉を言ってしまっているかもしれない自分自身の無神経さに対する反省です。

私が憧れるこうした言動は、簡単そうだけど実は簡単にできるわけではなく、日々の暮らしの中で少しずつ養っていくしかありません。
困っている人がいたら声をかけ、席を譲り、荷物を持ち、落ちているごみを拾い、つらそうな人や悲しそうな人がいたら、自分は何もできないけれど、そばにいるということを伝え、「そのままにしない」「見過ごさない」「見て見ぬふりをしない」ということを自分自身に、そこは厳しく課していこうと思っています。
そんな自分にいつかきっとなれると「夢」見ています。

映画は、今日現在上映中です。
どうぞ、足をお運び下さい。


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